高島敏夫の研究室

白川文字学第二世代です。2017年8月にはてなダイアリーから引っ越してきました。少しずつ書き継いでいきます。

拙論「殷周革命論」のファイル

 「殷周革命論」と題して連載してきたものの「金文篇」が一応一段落しました。正直なところ、殷周革命に関する謎解きがここまで出来るとは思ってもいませんでした。と言いますのも、当初は、陜西省岐山県の「周公廟遺址」から出土した甲骨文(殷末周初のもの)を読解するための土台を作っておこうというつもりで始めたのですが、『金文通釈』や新出資料の精読を重ねているうちに、今まで誰も解けなかった幾つもの難問が解けていったのは思いがけないことでした。「周公廟甲骨」の全貌がいつ公刊されるか分かりませんが、金文資料だけでも殷周革命の中核部分をかなり明らかにできたのではないかと思います。⇒[追記]参照

 

7号「《天亡𣪘》私考─殷周革命論ノート(一)」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou7/no07_01.pdf

8号「西周前期における王姜の役割―殷周革命論ノート(二)」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou8/no08_01.pdf

9号「西周時代における天の思想と天子槪念(上)―殷周革命論ノート(三)上」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou9/no09_02.pdf

10号「西周時代における天の思想と天子槪念(下)―殷周革命論ノート(三)下」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou10/no10_05.pdf

11号「冊令(命)形式金文の歴史的意味―殷周革命論ノート(四)」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou11/no11_01.pdf

12号「f:id:mojidouji:20201030215749p:plain京辟雍儀禮の特質と歴史的役割(上)―殷周革命論ノート(五)上」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou12/no12_01.pdf

13号「f:id:mojidouji:20201030215818p:plain京辟雍儀禮の特質と歴史的役割(下)―殷周革命論ノート(五)下」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou13/no13_04.pdf

 

[追記]
 今まで誰にも解けなかったのには理由があります。それは、文字観に誤りがあるからです。「文字言語」が甲骨文によって創出されたという文字観です。〔あたかも現代人と同じように〕口頭で言語を発することなくいきなり文字で書いたという文字観です。この文字観では言語というよりも文字だけに焦点を当てて考えてしまうので、元の言語場である口頭言語の世界を想定できないのです。というよりも、想定しようとしないと言った方が的確かも知れません。こんなことでは解けるものも解けません。漢字の専門家でないのならいざ知らず。古代文字を専門にしている人ですら上記のような非現実的な文字観で、古代文字の世界を理解しようとするのですから、解けるはずがありません。もう一度振り出しに戻って考えてみようという人は、拙著『甲骨文の誕生 原論』(人文書院)を繰り返しお読み下さい。凝り固まった文字観を払拭するつもりで何度もお読み下さい。繰り返し読めば大学生でも理解するのです。
 私の次のテーマは「金文に見える古代語の文字表現」です。