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中国の古文字(特に甲骨文と金文)を用いて、古代中国の歴史と文化を研究しています。白川文字学第二世代として白川文字学を継承し発展させることがテーマです。その第一歩である『甲骨文の誕生 原論』(人文書院 2015年)では、𠙵字形が祝詞を入れる器であるという説を、「祭祀言語(雅語)を記した冊書を入れる器」と捉え直しました。それによって、𠙵字形がその後口偏の意味になって行く過程を描き出すことができます。
文字を祭祀言語(雅語)を記したものと捉えたことによって、古代文献の読み方が根本的に変りました。つまり口頭伝承が文字化されたものが古代初期文献であるという視点を得たわけです。思いもしない視点の転換でしたが、よく考えれば当たり前のことに気付いただけのことです。こうした新しい視点に立って展開しているのが私の主宰する「初期漢字研究会」です。